果実と遺産分割

果実と遺産分割

果実と遺産分割? 何のこと? と思われる方も多いでしょう。この場合の果実とは、法律用語でいう「物から生じる収益」のことをいいます。法定果実と呼ばれ、物の使用の対価として受けるべき金銭やその他のもの、例えば家賃、地代、利息などがこれにあたります。
対して、天然果実と呼ばれるものがあり、文字どおり果物などはこれにあたるわけです。
ここから、本題に入りますね。遺産分割の相談を受ける中で、時折あるのが被相続人が所有していたアパートなどの賃貸物件の家賃収入についての問題で、相続開始から遺産分割までの間に発生した分はどういう扱いになるのかということ。特に相続開始から遺産分割協議が成立するまでに時間がかかった場合などは、大きな金額になってくることが想定されます。やはり相談として多いのは、「実際にその賃貸物権を管理していて相続する者が、そのまま持っていくつもりだが、どうなのか?」という内容です。この点、判例は「相続開始から遺産分割までの間、・・略・・遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である・・略・・」と判示しています。要するに、果実は遺産分割の対象には含まれず、各共同相続人がそれぞれの法定相続分に応じて個別に取得することになるということです。但し、下級審裁判例などもあり、共同相続人全員の合意がある場合には遺産分割の対象とすることが定着してきています。最終的には相続人全員の合意が優先されるということですね。

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