負担付き贈与の注意点

負担付き贈与の注意点

前々回に、借入金の残る収益物件を相続させる場合の注意点について書いてみました。今日は生前に贈与をしてしまう場合、同じような例で言えば、収益物件と共に、その借入金も一緒に負担付きとして贈与する場合などの注意点について少し触れてみたいと思います。
通常、不動産の贈与は相続税評価額での評価となるため、収益物件であれば時価よりもかなり低い評価とすることができます(贈与税率はさておき)。そこは相続税対策の定番ともなっている評価減の恩恵を同じように受けられるわけです。少し古い話になりますが、平成元年に行われた規制強化前までは、「負担付き贈与」でも上記の方法で評価がなされ、そこから負担する債務を差し引いた額に対しての贈与税が算出される形になっていたのです。ですから、うまくすれば贈与税はかかることなく子供に移転できてしまう場合もあり、当時はかなりこの方法での贈与が横行したようです。このような税負担回避に対して、公平を図る目的で規制が強化され、現在では「負担付き贈与」の場合の評価は「時価」で行うこととなっています。したがって「負担付き贈与」自体には、かつてのような節税効果はないと言っていいでしょう。
そしてもう一つ、何だかよくわからない注意点が・・。贈与する側にも税金がかかる可能性があるのです。例えば贈与をした親は、借入金を子に返済してもらうので、贈与でもその分を売却したとみなされ、譲渡所得税が発生するというもの。このように「負担付き贈与」の場合には、贈与を受ける側と贈与をした側の両方についての税金に注意することが必要となります。
ですから「負担付き贈与」を行うにあたっては、収益物件を生前に子に移転することで(相続時精算課税制度の活用)得られる、節税対策・納税資金対策などのメリットと上記納税額等のシュミレーションをしっかり行ってから検討することが大切だと思います。
また当然のことながら、債権者である金融機関に債務者変更が承諾されるかどうかも重要なポイントと言えます。融資審査が通らなかったり、連帯保証人が条件となる場合も考えられることでしょう。

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