帰来時弁済型遺産分割協議

帰来時弁済型遺産分割協議

日々、お客様のご相談を受ける中で、時折見られる相続人となる方の行方がわからないという問題。当然のことですが、遺産分割協議は全員の合意がなければ成立しません。これは行方不明者がいる場合でも何ら変わることはないものです。行方がわからないからといって、その方を除いた状態で決めてしまうわけにはいかないのですね。遺産の相続手続きもできません。
まずは、手を尽くして捜すことは当然ですが、どうしてもわからない。このような場合には、このサイトでも簡単に触れていますが、家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申立を行う必要があります。要するに行方不明者のかわりにその方の財産を管理する人のことなのですが、家庭裁判所に権限外行為の許可を取ることで遺産分割協議にも参加することできるようになります。
また、行方不明となってから7年以上が経過している場合には、「失踪宣告」の申立を行う方法も可能となりますが、今回「失踪宣告」については省きます。もしかすると以前にこのブログで書いているかもしれませんが・・。
さて、上記のように不在者財産管理人が行方不明者のかわりに遺産分割協議を行うことができるわけですが、ここで更なる問題があるのです。原則として不在者の法定相続分を確保しなければ家庭裁判所は協議案の許可をしないということ。そして不在者財産管理人は、その取得した財産を、いつ帰るかわからない行方不明者のために延々と管理しなければならないということになります。当然、これには費用もかかります。先が見えない大変な負担となってしまいます。
このようなとき実務では「帰来時弁済型遺産分割協議」を利用することが多いようです。
これは遺産分割の時点では行方不明者には特定の財産を取得させず、帰来したときに相続人がその分の代償金を支払うという協議を成立させるものです。こうすれば、管理の必要もなく、ここで不在者財産管理人の任務を終了させることができます。但し、帰来時弁済型遺産分割協議は必ずしも認められるわけではなく、不在者が帰来する可能性が低く、相続人は不在者の取得すべき財産相当の代償金を支払うことが出来る資力を証明し、不在者に直系卑属がいないなどの要件を満たすことが必要で、また遺産が高額の場合は認められないこともあるようです。
ここまで読んで頂いてどうでしょう?
文章にすると簡単に感じるかもしれませんが、この手順を踏んでいくのは大変な労力と費用がかかります。不在者財産管理人の申立には予納金も必要となります。
このサイトでも特に遺言書が必要な人の中に相続人となる人に行方不明者がいる場合をあげてあります。当然ながら遺言書があれば上記のようなことは一切必要ないのです。
事前にわかっている場合には、絶対に必要ですね。

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