自筆証書遺言の有効性

自筆証書遺言の有効性

先日の新聞に、斜線の引かれた自筆証書遺言の有効性が争われた訴訟について、「無効」とするとした最高裁判決の記事がありました。
ここのところ私は遺言書についての講座・セミナー講師をさせてもらう機会が続き、多くの皆さんに「公正証書遺言は不安を安心に変えられるもの」ということをお伝えしてきています。では、自分一人で誰にも知られず、いつでも作れる自筆証書遺言はというと・・・?
決して安心とは言えない、というより全然安心とは言えないものというお話を繰り返ししていたところにこの記事を目にしました。
記事によると、2002年に死亡した男性が、土地建物や預金などのほぼ全財産を長男へ相続させるとした自筆証書遺言を作成し、その後、自らその遺言書の左上から右下にかけて赤いボールペンで斜線を引いたということで、他の相続人が、遺言は故意に破棄されたとして「無効」の確認を求めて提訴したというもの。一審、二審では「元の文字が判読できる程度の斜線では効力は失われない」として「有効」という判断だったとのこと。私が感じたことは、このような判決の経緯はともかく、ご本人の真意がどうだったのかはもうわからないということ。一般的には斜線を引いたのだから効力を失わせる意思だと思われるかもしれませんが、なぜ破棄しなかったのかという疑問も残ります。極端な話ですが誰か他の者が引いた可能性だって100%ないとは言えないと思うのです。もう、今となっては推測にすぎないと思うのです。いずれにしても、自筆証書遺言というのはこのような罪作りなものになってしまう可能性が高いということ。だって2002年ですよ、亡くなったの・・。
それが今になっての判決です。相続人同士の関係はどうなってしまうでしょう?
裁判で争っているわけですから決して良好ではないだろうと思ってしまいます。遺言者自身もこのような状況を望んでいたわけがありません。真意はわかりませんが、せっかくの想いが実現できなくなるのは本当に悲しいことです。私も相続開始後に発見された自筆証書遺言が持ち込まれ相談を受けることもありますが、今まで何の問題のないものは見たことがありません。
ですから、これからも専門家として「安心できる公正証書遺言」の必要性を発信し続けていきたいと思います!

コメント



認証コード3477

コメントは管理者の承認後に表示されます。

powered by Quick Homepage Maker 4.91
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional