遺産分割によって受けた債権の担保責任

遺産分割によって受けた債権の担保責任

前回のコラムで書きました「共同相続人間の担保責任」の続編です。今回は、相続した債権の回収ができない場合のことを想定したいと思います。
まず民法の規定では、「各共同相続人は、その相続分に応じ、他の共同相続人が遺産の分割によって受けた債権について、その分割の時における債務者の資力を担保する。」とあります。どういうことなのか簡単に例をあげると、例えば亡くなった父が知人の経営する会社に貸していた貸金債権を、数人ある共同相続人の中の一人が相続したとします。当然、債権は回収するという前提で遺産分割を行うわけです。ところがこの債権が、債務者の資力事情等で回収不能になってしまった場合、前回のコラム同様、その相続は公平なものとはならなくなってしまいます。そこで相続人間の公平を図るために、このような場合においてもその債権を相続した方は、回収不能になった分を、他の共同相続人にそれぞれの相続分に応じた割合で負担を求めることができます。そしてその場合に、負担をすべき共同相続人の中に償還する資力がないものがあるときは、求償者も含めた他の資力のある者が、それぞれの相続分に応じて償還できない分を分担することになります。ここはちょっと、ややこしいところですね。
最後に、この担保責任は遺言で別段の意思を表示したときは、適用されません。例えば遺言書で、AとBは担保責任を負わないとしておけば、それは有効であり担保責任は負わないで済むことになるわけです。但し、それによって他の相続人の遺留分を侵害するときには、遺留分減殺請求の対象となってきます。

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