遺留分の放棄

遺留分の放棄

遺留分については、ご存知の方も多いことでしょう。このサイト内でも基本的な部分は解説していますが、今日は少し掘り下げたところで遺留分の放棄について書いてみたいと思います。相続放棄とは概念が違いますが、遺留分も放棄をすることが出来ます。遺留分は相続人保護のために認められた制度ですから、自らが放棄することは可能なわけです。放棄は相続開始の前後を問わず行うことができますが、開始前に行う場合には家庭裁判所の許可を受けた場合に限り有効となります。相続開始前に無制約に放棄を許してしまうと、親の権威により遺留分権利者に不当な圧力を加えて、無理やりに放棄させようとするような弊害が想定されるからでしょう。家庭裁判所では許可をするにあたり、下記のような基準を設けています。
①放棄が本人の自由意思に基づくものであるかどうか。
②放棄の理由に合理性と必要性があるかどうか。
③代償性(例えば放棄と引き換えになるような現金贈与がある等)があるかどうか。
このような基準を考慮して、遺留分の放棄が相当どうかを判断して許可、あるいは却下の審判をしているようです。
相続開始後であればこのような必要はなく、本人の意思のみで放棄をすることができます。そして当然のことながら、遺留分の放棄をした者は自己の相続した財産が遺留分に達していなくても、もはや文句を言うことはできなくなります。ここで注意して頂きたいことは、遺留分の放棄をしたとしても、相続を放棄したことにはならないということ。遺留分を放棄した者でも、相続権を失うわけではありません。例えば、被相続人が遺言をしないままに亡くなってしまった場合などは、遺産分割協議の当事者となるわけです。勘違いしやすいところですね。
遺留分放棄は、特定の財産を特定の相続人に確実に渡したいときなどの事前対策として有効に使われる場合があります。もちろん放棄してもらう人には、きちんとした手当が必要ですが。

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